高圧経済政策とは、景気循環経路の情報を目指すだけでなく、成長経路そのものを上方にシフトすることです。
単に財政金融政策による経済拡張ではなく、構造改革が必要なのだという方もおられますが、構造改革と言っても中身は曖昧です。また、構造改革には、人を減らして効率化する部分があります。高圧経済による人手不足経済の下でこそ、人々は新しい仕事を得ることができ、雇用は流動化するものです。異次元の金融緩和以来の、長期にわたる高圧経済政策こそが人手不足と生産性の上昇をもたらすのです。
ここで最近使われる「失われた30年」という言葉が気になります。この言葉は、ここ10年余りの高圧経済政策が日本経済にもたらした成果ー雇用の拡大、企業利益と雇用者報酬の増加、名目GDPと実質GDPの成長加速、財政再建などを無視するものです。
私としては、部会の皆様とともに高圧経済の成果を広く訴えていきたいと思っております。
景気循環学会高圧経済研究部会 部会長
原田泰