第2回税収弾性値予測
コンテスト2024
税収弾性値、名目GDPの伸びに対して税収がどれだけ伸びるかという比率は、極めて重要な値である、なぜなら、税収見積もり、財政収支の予想、財政再建政策、マクロ経済安定化政策を考える上で、必須の値だからである。ところが、税収弾性値については、極めて硬直的な議論しかなされていない。
過去30年間のデータの対数から素直に計算すれば、税収弾性値は3.5程度となる。ところが、政府は、「比較的安定的な経済成長を実現していたバブル期以前の平均的な弾性値」として税収弾性値は1.1であると主張している(「参議院議員中西健治君提出税収弾性値に関する質問に対する答弁書」2015年2月3日)。もちろん、弾性値が永久に3.5であることはありえない。なぜなら、税収弾性値が3.5という状況が続けば、税収の名目GDPに対する比率はいくらでも高まってしまうからだ。
世界的に、先進諸国の税収弾性値は、1~1.2程度で落ち着いており、弾性値が3.5と極端に大きくなったのは日本しかない。これは、日本がマクロ経済の安定化に失敗し、1990年代央以降、名目GDPが大きく変動したからである。高い弾性値は、マクロ経済安定化政策の失敗を意味している。日本が今後、マクロ経済の安定化に成功すれば、税収弾性値は徐々に低下していくだろう。
税収弾性値を非現実的に低く見れば、強引な増税の必要性が認められ、財政赤字や政府債務残高についての過度な悲観論を招くだろう。財政赤字や政府債務残高の増加は実質GDPの成長率を低下させるかもしれないが、過度な財政引き締めは実質GDPを大きく低下させる。2008年以来のギリシャの極端な財政再建策で、ギリシャの実質GDPは27%減少し、失業率は27%に上昇した。これは1930年代の大恐慌並みの大惨事である。
財政状況とマクロ経済とのイデオロギー的な対立を離れて、財政状況を理解する上で重要な税収弾性値の予測を以下の応募方法にしたがって広く募集する。これを、財政再建策、財政政策、マクロ安定政策について冷静に議論するための一つの出発点にしたい。これは、さらに広く政策議論の質の向上にも資するものと考える。
景気循環学会高圧経済研究部会
鹿野達史(三菱UFJ モルガン・スタンレー証券 シニアエコノミスト)
中里透(上智大学 経済学部経済学科准教授)
原田泰(名古屋商科大学ビジネススクール教授)
1.応募資格
どなたでもご応募いただけます。
2.募集内容
3.募集期間
2024年12月10日(火)12:00~2025年1月31日(金)23:59
4.応募方法
本ページ一番下【コンテストに応募する】より入力
5.審査方法
- ①~③及び①’~③’の全てを記載いただいている中から、2024年度の①~③の数値予測を審査します
- 財務省ホームページにて2024年度の一般会計決算概要(剰余金)の発表後(例年翌年度7月末発表)、審査開始します
- ①~③の数値が最も近い方から順に1~3位まで審査します
6.審査員
- 鹿野達史(三菱UFJ モルガン・スタンレー証券 シニアエコノミスト)
- 中里透(上智大学 経済学部経済学科准教授)
- 原田泰(名古屋商科大学ビジネススクール教授)
7.賞
- 1位…表彰楯 + 副賞10万円
- 2位…表彰楯 + 副賞5万円
- 3位…表彰楯 + 副賞1万円
8.結果発表
2025年秋ごろ高圧経済研究部会にて発表、表彰式の予定
※財務省ホームページにて令和5年の一般会計決算概要(剰余金)の発表後、選考開始いたします(例年7月末発表)
※受賞された方には、所属、肩書、お名前の公表をお願いいたします。
※受賞された方は研究部会内の表彰式にご参加をいただき、予測の理由など一言お願いいたします(現地もしくはWeb)
9.ご注意
- 応募は本人のみとさせていただきます
- 1人1回答のみの審査となります ※2回以上回答した場合は、失格となります
- 受賞者などに関する問い合わせはお答えできかねますのでご了承ください
10.お問い合わせ先
応募は2024年12月10日(火)正午から